安全対策
超流バランスセミシールド工法におけるフェイルセーフ機能と特徴
平成24年に発生しました高知市における泥濃式推進工法での施工中の事故に対しまして、 平成26年に厚生労働省より『推進工法によるずい道建設工事における労働災害防止対策の徹底について』の通達が公表されております。 その中で、使用される掘進機や推進設備の機構ならびに機能について言及されております。 それら要求事項に対する当工法の対策(フェイルセーフ機能)および特徴について、以下に記載させていただきます。
(1)遠隔操作方式の掘進機
要求事項である『坑内を労働者が歩いて移動することが困難なずい道建設工事』において、 当工法ではΦ1,350mm以下の全管径で遠隔操作方式の掘進機を採用しております(それ以上の呼び径においても一部遠隔操作方式の掘進機による対応が可能)。

遠隔操作盤参考写真
(2)フェイルセーフ機能付き排土バルブの使用
停電や漏電等の発生による掘進機の電力喪失時においては、排土バルブの操作が不可能となります。 その際にも排土バルブによる切羽圧力保持を可能とするために、電力喪失時に『排土バルブが自動で瞬時に閉鎖し、 切羽圧力の保持が可能』な機能を有する排土バルブを標準仕様としております。
通常施工時(排土バルブ開操作時)

緊急事態(漏電等通電停止時)
排土バルブ自動遮断閉塞機

排土バルブ開閉作業状況図
(3)掘進機への予備タンクの設置
エアコンプレッサの故障や停電などの異常時に排土バルブを閉鎖できるように、 掘進機内に2回程度の閉鎖が可能な容量の空気を貯留することができる予備タンクを標準仕様としております。 また、同予備タンク内のエア圧低下時には遠隔操作盤において、警告ランプが点灯し、異常発生の確認が可能な状況となっております。

掘進機内の予備タンク設置状況および遠隔操作盤における警告ランプ点灯状況写真(参考)
(4)排土ゲートの設置
掘進機には、切羽側排土取込口または機内側排土排出口もしくはその両方に油圧式排土ゲートを標準として設置しており、 緊急時にはゲートを閉鎖することで、切羽の密閉性を保持することができる機構を有しております。作業休止日あるいは段取替中など、 推進作業を行わない際には排土バルブならびに排土ゲートを閉鎖し、切羽部の土砂の移動・流出を防止して、 切羽圧力の保持を行うことが可能となっております(機種により、油圧排土ゲートの位置が異なります)。

掘進機に設置される排土ゲート(切羽側・機内側)
(5)エアコンプレッサについて
エアコンプレッサは、泥濃式推進工法における排土バルブの開閉作業を行うための重要な設備であります。 異常時においてエア圧が低下した場合には、遠隔操作盤に緊急ランプが点灯するとともに、 コンプレッサ隣には大型(容量1㎥)のエアタンクを設置することを標準とし、安全に配慮した機構および設備となっております。

エアコンプレッサおよび大型エアタンク設置状況写真(参考)
以上のように、超流バランスセミシールド工法は使用する掘進機ならびに推進設備に対して『安全』に主眼をおいた検討を進めております。 そのため、小規模立坑での大深度施工など、安全作業が担保できないような施工条件では、対応が困難と判断する場合も多くなりますが、 施工の安全性・確実性を考慮した上での判断となりますので、ご了承いただきますよう、宜しくお願いいたします。